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§30 <こんな生徒が伸びる!かな・・・>
◎<学力が伸びる生徒の性格>
教える側から申せば実は、教えやすい生徒と教えにくい生徒があるんですね。
普通はどちらでもない真ん中で、割合的に敢えて言えば80%ぐらい、そして教えやすい生徒、教えにくい生徒は各10%ぐらいになるのでしょうか。われながら変な表現ですが、これから述べる内容の中に、何か学習上のヒントになるものがあれば幸いです。
まず教えにくい生徒の方から言いますと、教えにくい生徒=成績のよくない生徒という意味ではなく、もちろんそのケースも正直言ってあるのですが、それよりもむしろ、その生徒の学ぶ姿勢、性格によるところが大きいですね。
もう少し具体的にいいますと、二つのタイプがあります。まず一つ目は比較的成績のいい生徒にあるのですが、俗っぽく言いますと自惚れタイプです。例えば自分は数学が出来るとか、英語が出来るとか、授業中それが表に出てきて、易しい事やわかってることなどは気を抜くというか、大事な説明などしている時に集中力が欠けるときがある生徒です。
「過信すると物事の表面しか見えなくなることがある」ように、これは生きていく上に措いて全て当て嵌まるかと思いますが、勉強の上に措いても同様です。基本が大切です。わかってることは更に確認しようとする姿勢が、次の応用力への糧になるわけで、そこまでいかなくても基本の実力をより強固にすることに繋がります。
また別の厳しい言い方をすれば、このような生徒は本当に応用力を必要とする段階、レベルアップした思考力を要する問題になると(中3の入試応用からですが)、簡単に壁にぶつかるというか、力が発揮できないというか、力そのものが備わっていないことがしばしば露呈されてしまうんです。
ですから、そのような生徒の態度、しぐさに触れると私は、本人の為になりませんから即座に矯みます。でもですね、何度注意しても、注意した訳を説明しても直らない生徒がたまにいるのです。これは教えにくいと感じます。
二つ目は、成績とはまったく関係なく、叱られたら拗ねる生徒ですね。行き過ぎた体罰や躾はもってのほかですが、最近の子供は家庭の中で両親や、また学校等であまりきつく叱られた経験がないのでしょうか、また甘やかされし過ぎなのでしょうか、その原因、状況をここで堀リ下げる気はもうとうありません。
ただ、勉強をしていくということは、新しいことを次々に学んでいくんですが、そうすんなり生徒はそれらを頭に入れるわけではなく、次々にわからないこと、ミス、ここは注意してこうするんだ、と言った後直ぐに間違える生徒もいるのが現実で、まことに厄介。
まして積み重ねの科目は、過去に習ったことを踏まえて次に進むわけで、その過去の内容を吃驚するくらい抜けてますから、また補強しながらとろとろ進む。教えるだけなら、ほんと、どれほど楽だろうか! 生徒が習った大事なものをぼとぼと零しながら進むのを別に気にせず、ただ目先の勉強内容だけを理解し、表面的にわからせるだけなら、大学生の家庭教師でも、新米の先生でも出来る。
問題は、教えたことがまた生徒が学んだことが、如何に生徒の身に付いたか?!で、即ち、実力として備わっているか!で、それは言うは易し、行なうは難しの現実の中で、ある程度経験と観察を積めば、生徒がここで間違う、またわかった顔をしていても実は本当には理解していない、などなど、観えてくるものです。
教え過ぎる、というのもどうかと思いますが、いろいろノウハウやポイント、問題点がある中で、基本の勉学姿勢が拙いと、或いはまた生徒自身の中に気持ちの前向きさがないと、学力向上どころか、勉強そのものを人から学ぶことができない可能性が出てきてしまい、その一つに上で書いた、拗ねる生徒の実態が出てくるわけです。
もちろんこれもあるべき勉強姿勢に指導していくのですが、中にはどうにも直せない生徒もごく稀にいるんですね。これは教えにくい。まあ、これは余談ですが、そして多いにぼやきに属することですが、この種の躾、勉学姿勢は家庭や学校で基本的に養っていて欲しいと思う。理想をいってるのではなく、普通の、当たり前のことを申し上げているに過ぎません。
反面教師として捉えていただければ、と考えます。次に正反対の、教えやすい生徒についてはどうでしょうか。今回のテーマである「こんな生徒が伸びる!かな・・・」<学力が伸びる生徒の性格>に、深く関わることは言うまでもありませんね。
まあ、既に書いた、教えにくい生徒の姿勢、性格の逆と考えればいいのかも知れません。生徒A(女子)と生徒B(男子)を少しご紹介します。
生徒Aは中3になってから入塾してきました。入塾テストの成績はそりゃあ酷いもので、英・数・国の3教科、どれをとってもまともなものはなく、中1、2の基礎が入っていない。偏差値で言えば、35ぐらいではなかっただろうか。うーん、と、私は唸りました。その3年の学年は鍛え上げたというか、最初の成績からはかなり上がり、一番出来の悪い生徒でも偏差値50はあり、上は68、平均にして60ぐらいはあったのです。
クラス別けするほど大きな塾ではないので、今からその中に入ってやっていけるだろうか、この生徒にかかりっきりになると全体が進まず、全体を優先するとこの生徒Aは一人取り残される。まあ、これはどこでも抱えてる問題ですが、悩みながらもそのあたりを含め、お母さんと生徒に説明しました。しかし、それでもかまわない、とにかく公立高校に何としても入りたい、と真剣にいいます。
「自分にだけかかずらってるわけにはいかん、歯を食い縛って附いて来い、人が30分で出来るところを1時間かけてやること。暗記しろ、という問題、テストは必ず頑張ること!」など、私はその女生徒と母に説明しました。
最初は戸惑いつつも、簡単な暗記テストで、他の生徒が涼しい顔して90点以上取るところを、70点ぐらい取るのがやっと。努力してるのはわかりつつも、「何で、70点なんだ、もっと時間かけて覚えんか!」と、厳しい私の言葉。授業中も当然、みんなより注意されることは多い。叱ったり、突き放したり、みんなのペースに合わせたり。でも、それにもめげず、彼女は附いてくる。
いつ頃からだろうか、みんなと同じ点数が取れるようになったのは。でも、私は褒めない。褒めて木に登らすことはできても、山に自力で登らすことはできない。この方針がいいとも決して思っていないが、とにかく自分の足で歩け、汗水垂らすのは当たり前だ、と考えている。多少同じ問題の暗記テストができたとしても、それが即、実力に繋がらないことは、うんざりするほどわかっている。
でもそんな厳しい指導にも拘わらず、生徒Aは誰よりも早く来て、勉強道具を机の上に置く。静かに地道にコツコツ勉強しようとするその姿は、暑い夏が過ぎ、秋になる頃、報われてきた。教えたことの7割ぐらいが身に付きだした、と感じる。偏差値も徐々に向上し出し、春を迎える頃は希望する公立高校(偏差値48)に、無事合格することができた。
注意されたことを素直に聞く。どんなに叱られてもくさらない。与えられた課題は手を抜くことなく、真面目にする。別段、特殊なことではないけど、これを無理なく実行できる生徒というのは、案外少ないですよ。最初の2,3ヶ月は本人も私も気骨が折れたけど、その後は本人の性格もあって、多いに教えやすい生徒であった、と言えます。
もう一人、生徒B(男子)の場合はどうだろうか。中1からの入塾だったが、当初の偏差値は48。できるわけでもなく、できないこともない、ごく普通の学力の生徒であった。中2では57、8ぐらいの偏差値であったか。しかし、中3の2学期には最高70まで行った。平均でも67ぐらい、調査書(内申)が今一振るわず(実技4科目が低い)、学区内のトップ高(68)には行けなかったが、準トップ高(65)に進学した。
この生徒は3年間で、偏差値20アップしたわけですが、その原因、理由は何だったのだろうか。
一般的理由――生徒自身の絶え間ない努力、塾との相性のよさ、使用教材の優秀さ(ここで宣伝、すみません)――の他に、見過ごしやすいのですが、生徒自身の性格によるところも、一つの要因であると考えます。
まず何より、性格的に屈折していない、素直そのものです。(わたしなんか、屈折しまくって、解いても元に戻りませんが、そんなことはどうでもいい) これは勉学に措いて、大切ですね。生徒Aも多分にその要素を持っていましたが、勉強していくという事は、ただ新しい知識、問題とその解法を習うだけではなく、同時にその周りにあるもの――覚え方や注意点、テクニック、学習
法等も教わったり、真似したりするものです。
普通の生徒はそれらをなるほどとその場では感心したり、納得したりするものの、宿題以外はなかなか実行しないものです。けれども生徒Bは、それができた。そう、思います。
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