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§370 理科の勉強について
<勉強時間を増やすべし>
「<新版>理科の入試攻略問題集」を3カ月余り作ってきて、その余韻と熱がまだ身体の一部に残っており、そして多少引っかかる点があるので、今回は理科についてほんのすこしだけですが思うところを書いてみます。
「理科の勉強のしかた」についてではなく、「理科の学力」についておそらく今後どういうことが予測されるか、そのすがたと問題点について私見ながら述べてみることにします。
2009年度から2011年度の期間の移行措置項目、及び2012年度から完全に変わる理科の新学習指導要領に対応するため問題集を作り替えてきたわけですが、その中身は、1分野と2分野で問題のプリント枚数が従来の118枚から166枚にと48枚も増え、旧来比40%増はいいとして新学習指導内容全体からいえば29%の割合を占めることになりました。
これは奇しくもゆとり教育ということで3割減になった内容がもとに戻ったのとちょうど符合しており、作り終えて、われながらちょっと不思議な感がしました。と同時に、すべての内容を久しぶりに食べ終えて(?)、その量の多さに腹いっぱいの感をもちました。どうも胃が、いつの間にか小さくなっていたようです。
コワイものです。減らしてレベルダウンするのは簡単ですが、もとに戻しレベルアップするのはきついものがあります。正しくいえばこれはレベルアップでもなんでもなく、前にあったふつうの水準にしただけの話なのですが、感覚はそうは取らない。
感覚だけにこれを読まれる方はなんのことを言っているのかが、おそらく理解できないでしょう。で、へたな喩えをしてみます。
生徒は理科を勉強しなければなりません。お母さまは毎日家族のために料理を作らなければなりません。その理科の学習する量がおよそ3割増えるということは、1週間にこれからは10日分料理しなくちゃならないハメになるのと同じ感覚、といえばいいでしょうか。これは実感があり過ぎて非難と顰蹙のブーイングがあちこちから湧きあがりそうですが、でも約3割の勉強が生徒に増えるってことは、こんな感じになるのです。
中学の5科目のなかでふだんの実力テストはもちろん、入試での平均点で理科は数学に並んで低い科目になるのがふつうかと思いますが、それが最近では、理科に関しては学習量の減少に伴う易化現象とでも言いたくなるほどの平均点の上昇がありました(と、一般的な傾向で解釈しておりますが、理科の専門家ではないのでもし間違っていたらご指摘ください)。しかし、それも今度の学習内容量の増加で、以前の状態に戻るでしょう。
入試では、シビアな理科の実力が出るということです。できる生徒はできるし、できない生徒はできない。どちらでもない真ん中あたりの生徒は、点数が下がる。
対象を上位層の生徒に絞って書きますと、これはなにも理科に限ってのことではありませんが入試問題の内容が比較的やさしいとみんないい点数をとって差が出にくいものですが、問題のレベルを意識的に上げるとほんとうの実力の差が点数にすぐ出てくるものです。そうではなく、問題のレベルを上げないでいままでどおり維持し学習する量を今回のように拡大したなら、全体に優秀でも理科にやや不安や弱点を抱えている生徒の場合、まぐれでいい点数がとれる可能性はぐんと減り、思うような点数はとれなくなるでしょう。
ここが今回、問題集を作り直していてつよく感じた点です。学習する中身が増えれば、それに合わせて勉強時間も増えるのが当然であり、さらに質的にも省かれていた内容が理解や暗記にやや手間取るものが含まれているので、なおさらこころして取り組むべきかと思います。
成績がいい生徒のなかで、数・英・国の3教科はけっこうできても、理科と社会で偏差値を下げている、また足を引っ張っている生徒は思いのほか多いものです。これは中1や中2のときはまだわからず、あるいは意識できず、というのは学校の定期テストでいい点数がとれているからに過ぎませんが、そして油断をしているわけではまったくないにしてもたしかな実力として身につけていることとは必ずしも合致していないことが、中3になってようやくわかってくることが多いからです。
わかった段階でもっと勉強をすればいいことになりますが、しかし、これはふつうのことで、個々の特殊なケースは除きふつうの努力結果に終わることも多いのです。抽象的すぎて意味がわからないかと思いますので、数学と理科に限定して具体的に書きますと、次のようなイメージです。数学は非常に得意でかつ実力もある、理科は上記のような生徒、とあえてここでは仮定します。わかりやすいようにすべて100点満点にします。
・数学:96点(定期テスト)、92点(中3実力テスト)→95点(努力結果の実力テスト)、85点(入試点)
・理科:95点(定期テスト)、72点(中3実力テスト)→84点(努力結果の実力テスト)、80点(入試点)
これをどう読むかですね。どちらもふだんのテストではいい点数をとっており似たようなものです。が、実力で大いに差が出ている。数学は努力結果ですこし上がっているのに対し、理科は理科はけっこう伸ばしている。いいではないか、となりますが、たしかにいいのです。さて本番の入試での点数。数学は85点でした。努力結果の実力より10点ダウンです。これが数学でしょう。コワいです。しかし、この85点は、わたしからすればとてもいい点数です。
欲をいえば90点近くは取ってほしかったですが、そのようにはいかないのが数学です。これで正解です。さて、理科。努力結果の84点に対し、78点。実力より4点低かったけれど、まずまずの点数がとれました。いいではないか、ということなのですが、はたしてそうか?
たしかに中3実力テストの72点からよく努力し、成績は上がりました。立派です。しかし、欲をいえばというか、理科と社会はもっと欲をいいたいのです。公立トップ高を狙う生徒なら理科や社会は、入試ですくなくとも90点以上はとっておくべきでしょう。
つまり、
「理科:95点(定期テスト)、88点(中3実力テスト)→95点(努力結果の実力テスト)、90点(入試点)」
くらいの実力をつけておくのが、合格へのたしかな布石ではないかと思うのです。理科(と社会)、ふだんのテストの結果ではみえない実力を、その勉強を、ぜひ中1と中2から心掛けていってほしいと思っております。
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