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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§181 数学の応用問題について VOL.3 
<問えば、解る。その力>

 ほんとうに自分でわかっていることは、口に出してしゃべれるものです。これは表現力を問うているのではありません。ですから、上手く言わなくてもいいし、もぞもぞと舌足らずのいいかたでも構わないのです。ただ一点、ポイントを押さえた言葉・単語があるか、です。

 以下、些か禅問答のような形式で・・・。
 <A><B><C><T>の4人で設定します。<T>はわたし(先生)とします。他3人は生徒。応用問題が出来るようになるかならないかの話しですから、生徒のレベルは上に設定します。学校の数学の定期テストで取っている点数、<A>は80点前後、<B>と<C>はどちらも92,3点で(別に95,6点でもいいのですが)同じくらいとします。関西弁丸出しで、それも多少荒っぽいいかたはご容赦のほどを。

<T>「テストのなかに応用問題があるとするな。その問題を見たら、まず何を、どうするねん?」
 言ってる本人は、まず漠然と訊いているだけで、気持ちも十分入っていない。
 生徒A、B、C順々に尋ねる。

<A>「□△○※●∴・・・?」
<B>「先生、何の問題についてですか?」
<C>「さっと、読んで、解けそうな問題ならやるけど、ちょっと時間がかかりそうな問題なら、あと   からする」

 Aが殆どの生徒に当て嵌まるけど、BもCも、まあ、もっともな受け答えだ。よしっ、ちょっと気持ちを入れるか! 

<T>「その応用問題のレベルは、学校の実力テストよりちょいと高いくらいかな。学力評価テス  トで偏差値65〜68ぐらいとする。まあ、お前らの中で10 人に1人が出来るかどうかやな。まず  は、文章題としようか。割合に関する問題で、連立方程式で解く問題だな。長々なにやら書い  てある。さあ、どう解くねん?」

 文章題だから正確には偏差値68ぐらいに相当するものは普段お目にかからな
 いし、学力テストにもまず出てこない。いいところ、65程度だけど。

<A>「□△○※#∴・・・?」(先生は何を言っているのだろう? わけわからん・・・。)
<B>「割合の問題と言われても、具体的にどんな問題か、もう少し細かな条件を言ってくれない   と、まったくわかりません」(長々書いてあるで、なんでわかるんや。ちゃんと、まともな説明し   ろよな!・・・)
<C>「もとになる量を見極める。それをX、Yでおく。4つの関係があり、文章からすぐに式に作ら   れないから、条件を抜き出して書く。田んぼマークの表を作り、そこに4つの条件を表しても   いい。そこから2本の式を作る。うんと、その場合、計算に注意して、必ず問題で何を求める   のか、確認する。大体、比較量が答えになるんで。
   あと、3番がある問題の場合、具体的に列挙して考える問題が多い。たとえば文章から、明   らかに整数でなければならないときなんか、その条件で一々考えればいい。」

 もちろんCのように応える生徒は50人に1人もいない。またたとえわかってるにしろ、こんなに長く説明もしないし、いえない。まあ、そこのところは表出してみたに過ぎない。もうお気づきのはずですが、BとCの生徒の違い。これは、まとめてあとで言及します。

<T>「じゃあ今度は、図形に行きたいところだが、先にワンポイントで、1次関数の応用問題だ。   図形が絡んでいる。さーて、何がポイントや? 一言でいえ」

<A>「□△○※%∴・・・?」(えっ、そんな短いの?)
<B>「もし平行四辺形の図形なら、平行四辺形の面積を2等分する直線式は、対角線を引いて  、その交点を通るので、・・・。公式に代入する」(いろいろあるんだけどなあ。でも、他のは、   急に言われてもちょっと憶いだせないよ・・・)
<C>「等積変形」

 BもCも正しい。ただし、Bの生徒のは、応用の中の基本の1つで、一言でいえ、という絞り込んだ問いには対応できていない。生徒Cのは、平行線を引くという作図が絡み、その目線の位置は高度とまではいかなくても高いところに在る。応用のなかの中レベルで、この活用は欠かせないものがある。言葉も端的で、急所を突いている。

 ところで、Aは依然と、なんの返答もできない。この範疇に入る生徒は8割以上ですから、等閑にできない。そこで、応用問題の本質に迫る問答、それは図形問題に多く存在するわけですが、そこへいくのを断念、急遽基本に立ち戻ることにする。1次関数の話題だから、そのままに。基本を尋ねる。1次関数の公式は?に、Aは、Y=aX+bと答える。

<T>「じゃあ、a は関数用語では何と言うんだ?」

<A>「傾き」
<T>「それはグラフ用語だろう! 関数としては一般に何と言うんだ?」
<A>「・・・」
<T>「B、言ってみろ」
<B>「変化の割合、です」
<T>「では、bは何だ?」
<B>「・・・」
<T>「C、言ってみろ」
<C>「初期値」

<T>「では、aの変化の割合とは、どういうことだ? この言葉を、公式でも何でも説明しなさい」

<A>「・・・」
<B>「Xの変化分ぶんのYの変化分(Yの変化分/Xの変化分、のこと)」
<T>「では、もうひとつの言い方は?」
<B>「・・・」
<T>「C、言ってみろ」
<C>「Xが1増加したときの、Yの増加量を表す」

 こんなのは、1次関数の勉強をしたときに、かなり詳しく説明、また暗記も
させたものである。現実は、bの初期値の説明でさらにどつぼに嵌ることにな
るが、それは省く。

<T>「じゃあ、問題。Y=−3X−8の1次関数。Xが−5から−2に変化したとき
 の、変化の割合はいくらか? すぐに答えろ」

<A>「・・・」(すぐには無理だよ・・・)
<B>「対応表を書いて、それに数値を入れて・・・」
<T>「そうかあ? 時間がかかるなあ。C、言ってみろ」
<C>「−3」

 つまりこれは、その前の質問の意味するところを押さえていない、または、ほんとうにまだ理解ができていない、ということを表しています。1次関数の場合、2次関数とは違い、変化の割合は‘常に一定である’という、当たり前の基本のことが。しかし、学習したときに詳しく説明、十分演習、さらに暗誦までさせた。定期テスト前には再度点検、説明し直しと覚え直し、理解の徹底をくどく図ったことである。そして、みんな出来た問題なのだ。

 おわかりいただけますか? 応用ができないのではなくて、基本もできていないことが。ほんとに大切なことはまず、習った基本がいついかなるときでも、きちんと身についていること、そしてそれをすぐに取り出せることです。基本が抜けるような理解と暗記、そのような勉強をしている者に、応用問題が吸収できるはずが、ましてやそのポイントの活用が、できるはずはありません。

 BとCの生徒の違いにも少し触れておきます。これは或る意味、余計なお世話かも知れません。なぜなら、点数がいいのにそれにわざわざケチをつけるようにも受け取られる可能性があるからです。そのようなつもりは毛頭ありませんので。日頃よりほんとうの実力をつける学習を積むように、また中3の後半にもなって、自分の意外な(?)数学の能力の低さに気づいて大慌てをしないですむように、さらには入試数学本番でその応用問題に、手も足も出ないような惨状(?)を招かないですむように、そんな意いからです。

 しかし、長くなりましたので、この続きは次回に。