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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§178 数学の応用問題について VOL.1 
<基本と応用の狭間で> 

 今回は中学数学の勉強の中で、応用問題を解く際の問題点と、また如何にすれば応用力なるものが身につけられるのか、という視点で少し書いてみます。

 しかし、「応用問題を解く力」を身につける学習法・ノウハウなんて、そもそもあるのだろうか? どうも疑わしい。あるといえば、それは確実にあるし、ないといえば、それを実行できない生徒にとっては限りなくない、といえる。あるのは、自分で学習していくやり方であるし、ないのは、教える学習のしかたである。このまったく意味不明な、また逆ではないかという表現に、合点がいく、乃至思い当たる方は、ごく一部の人に限られるのかも知れない。

 わかりきっている事実が、ひとつある。基礎に「習熟」していなければ、応用に行けないということである。公立中学に進んでいる生徒の半数以上がいま、基本的知識そのものに絶対的な不足をきたしており、中学数学の基礎レベルの問題で、まず十分に我が身に吸収できていないか、躓いているのが現状だといえる。

 そしてまたはっきりしてることは、公立中学の授業で「応用問題を解く力」を身につける学習はほとんど、いや、まったくなされていない、ということか。多くは基本の学習のみである。それでいいと思うし、またそれぐらいのレベルしか教えない、もっと直截にいうなら、教えることが出来ない、というのが実情でしょう。

 その理由のひとつ。小学算数の基礎がなっていない、しっかり身についていない生徒の割合が、以前に較べ多いからだ。ほんとにあまりにも多い。小学校の先生は、もっと算数の基礎をみっちり生徒に教えて、少なくとも中学の基本だけは学べる力を育てていて欲しいものだ。それが、教える側の最低の責務なんだけどね。

 その時だけ、生徒にわからすことは、とても簡単ですよ。そして困ったことに、わからせたつもりで終わっているのだが、ほんとうに身についている生徒はその3分の1もない。ここのチェックがとても甘いのだ。たとえば文章題の基本中の基本である「割合」の問題なるものは、公立中学に進んだ生徒のなんと7割以上は、わかっていない。割合の文章題を読んで、さっと自分で、何がも
とになる量かを掴めない、判断できない生徒が、中1生には常識と限度を超えて多くいる。このような事例を出せば限がないが、ここでは差し控える。

 こんな生徒の有様では、満足に教えたことにはならないのだが。いい加減だなあ、とつくづく思う。この感懐は、おそらくたくさんの人が持ってるのではないかと思う。健全な(?)基礎を踏まえて、中学数学の「基本」が出来るわけだけど、踏まえるものが生徒のうちに、基本の実力として蓄えていないから、数学で基礎の説明のやり直しを一からしなければならない破目に毎年なる。

 基本といえば、何やら誰でも簡単に出来そうに思っているかもしれないが、現実はかくの如く、その基本ですらなかなか理解できない生徒が多くいるわけで(これは当然中1よりは中2で、中2よりは中3で加速度的に増えていく)、またわかってその時は出来ても時間が経つと、考え方のポイント、解法の流れ、またときに公式や定理ですら忘れてしまい、出来なくなる生徒が、これまたとても多くいるのが、数学の有様です。

 この証左は、実力テストの結果を見ればよくわかる。公立中学で行なわれる実力テストなるものは、殆ど習った範囲の基本の寄せ集めに過ぎず、それでも、中学1年では当然やさしくて判断にもならないが、中2になると、その出題範囲は1年の内容と中2の習ったところまでの中から出されるので、平均点は下がる。そして中3になると、1年、2年の全範囲と中3の既習範囲となるわけだから、見事に(?)平均点は50点そこそこになってしまう。

 50点という点数をどう捉えるかですが、このたかだか基本の集合の実力テストで50点しか取れないということは、公立入試の問題になるとせいぜい30点(100点満点として)が取れるかどうか、という力です。70点ぐらいの生徒でやっと、50点(入試の平均点)に到達するかのレベルです。残念ながら、そんなものです。

基本は大切です。では、基本がすべてわかり、かつ覚えていた(この時点で、わたしの目と経験から申せば、少なくとも80%前後の生徒は、力すでに及ばずですが)として、入試数学が出来るかといえば、はっきり否です。他の4科目と異なり、数学は、応用問題の出る割合とその思考力を見る問題の比率ははるかに高く、よってここを避けて高得点を取ることはできません。

 つまり、数学の成績がいい生徒でみると、定期テストで90点以上、実力テストで80点以上取っていたとしても、それがそのまま入試数学でも他の教科と同じように80点前後取れるかといえば、決してそんな甘い観測は成り立たず、下手すりゃあ(ミスも入れ)60点くらいになってしまうのも数学の怖さです。この20点の落差は入試にとって、とても大きいことは言うまでもありませんね。
それが公立上位校になればなるほど重く響いてくるのは、ご存知の通りです。
 
 ここからは、基本の学習とそのリカバリーについては触れません。今回のテーマが「数学の応用問題について」であるからです。よって基礎は、まあがっちり大丈夫と仮定して、次に話を進めます。

 はじめに「応用問題を解く力」を身に付ける学習法・ノウハウなんて、そもそもあるのだろうか?と書きました。確かに「応用問題を解く学習」は、それなりにあります。そうではなくて、わたしが述べているのは「応用問題を解く力を身につける学習法」はあるのだろうか?!ということです。

 応用問題を解く力を身につけてる生徒はいます。それは、一朝一夕に身に備わるものではないし、また口で簡単にこうすればいいのだといってすぐに実行しえる代物でもありません。長い(最低1、2年)猛勉強と修練に耐えた生徒が、自らの内に獲得でき、築き得るものでしょう。即ち、小学算数の応用問題(形は違いますが、中2の最終段階までの能力が要りますね)を経験し、吸収した生徒であり、当然私立の難関中学へ進んでる場合が、いまは多い。

 それらの生徒に、更に数学の段階でも「応用問題を解く力を身につける学習法」を展開、指導することは、さして難しい作業ではないといえる。しかし、それを経験していない、また経験したとしてもさして本質がわかっていない公立中学生の大部分(?)に対しては、たとえ応用問題を教えたとしても、それを身につけさせることの、なんと困難なことであろう・・・。実際、定期テストで90点以上取ってる生徒に入試図形の応用レベルを解かせると、ぴたっと思考が止まる生徒が半数以上、いや、厳しい目でいえば4分の3近くいるのが、現実の紛れもない姿です。このことは、一般にはまったく見えないわけで、また極めてわかりにくいことですが。

 公立高校受験を常に念頭において述べていますが、その場合、皆様重々ご承知のごとく内申点が絡むわけで、その比重はたとえば6:4のように入試点に重きを置く傾向が進学校では強くなってきましたが、それでも内申の大切さは言うまでもありません。よって定期テストや提出物など、普段の学習面でまたテストで、きちんと結果を出していくこととその努力はとても大切です。しかし、定期テスト(一部実力テスト)でまあそこそこ点数を取っているので、また常に90点以上は取っているので、数学の力はある、とは安易に結びつかないことを認識をしておくことは、応用問題へのアプローチの一つのきっかけと間違いの少ない勉強に繋がるかも知れません。

 続きは、次回に。