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§114 計算が遅い生徒達・・・<続>
<小さな計算の工夫!>
いまの中学生の計算がたよんないことは、前回述べました。
目に見えない計算の根本部分における微妙な暗算力と一定の処理のスピード、そして頭のなかに構築されている計算網がどうもおかしなことに、十分には発達しているとはいい難い、昨今の平均的な中学生。わたしの観るところ、少なくとも公立中学生の8割はこれに該当する。その大いなる原因として、小学時の計算演習の不足が大きく響いていることは論を俟ない。
従って、小学生のお子様(特に5,6年生ですが)を下にお持ちのお母様は一度、自分の目でその計算力を時折確かめられることをお勧めしたい。とんでもなくひどくなるのは5,6年生の間ですから、その間にゆとり教育(現在すこしは元に戻ったようですが、それでもまだまだ)の波をもろに被ってなすがまま、計算力も変なゆとりを決して持ちませんように。
現在の小学校で行なう計算問題のレベルと量で、健全な(?)計算力が養われるとはとても思われません。計算訓練としては、学校の3倍ぐらいは家でも行なってちょうどいいのではないかと思います。
中学生のその計算をしている姿は、水泳のクロールの泳ぎで喩えるなら、足が動かせていなくてお留守の状態、といえばいいのでしょうか。手だけ一生懸命動かして泳いでいるんですね。顔を水につけその息継ぎのしかたや手の動かし方など、形はそれこそ丁寧に詳しく教わっているんですが、また練習もしているんですが、当たり前である筈の足の動かし方がまるでなっていないというか、下手するとぜんぜん使っていない、その指摘も注意も受けてこなかったのでは?といいたくなります。
これでは泳いでもなかなか前へ進みません。進んでも遅いし、ふらふら泳ぐことになりますね。尾鰭のない魚なら同じところをぐるぐる回ることになる。前回より述べ、そして拘っている箇所は、実にこの点にあります。つまり、足を使わない泳ぎは、推進力がないばかりか方向性もきちっと定まらないわけで、計算でいえばスピードもなく、ほんの少し複雑な式になるとその解く手順もち
ぐはぐになったり、時に、いやいや頻繁に停滞、フリーズを起す。
膝から下の脚をリズムよく強烈に水を叩いて泳ぐのは当たり前で、特別なことでもなんでもない。むしろ自然でしょう。計算に措いても、その特別なことでもなんでもない部分をしっかり使うことが大事なのだけど、それがどうもおかしい。
例えば分数計算。足し算・引き算なら通分して計算することは誰でも知っている通りですが、それを速くするためには分母の最小公倍数が瞬間にわかることでしょう。3と4なら12、3と5なら15、4と5なら20。このレベルならみんな普通でできる。では、4と6なら24ではなく12であるということ。15と25なら75になる。このあたりが瞬時に浮かぶ、1秒以内に通分できる力が欲しいのです。
しかし5秒も10秒もかかっているのが、いまの平均的な生徒でしょう?! 3と4と5なら60。これも瞬間でしょう、たくさん解いているうちに何度も出くわすし、そして少なくとも3度目からは、覚え込まねば(ちなみに4と5と6も60ですね)。それも小学時にね。鉄はまだ熱いんですから、その間に。
何でも時宜というものがありますから、その時宜に適う間に、それこそ叩き込め、と強く言いたい。しかし現実は、叩き込む学習が詰め込み教育につながると思っているらしく、優しく撫でた教え方、つまり説明と理屈に時間をかけ、しかも、まあなんでそんな手間ひまかけた回りくどい解き方、計算のしかたをするの?と唖然とするやり方が小・中問わず、大手を振るっている。
で、それに比例した問題量をこなしているのかといえば、そうではないから恐れ入る。全体にかける時間が限られているとでもいいたいのか、演習に回す時間、即ち実際に使いこなし、運用して血肉化する大事な過程が、あまりに短くお粗末で、また中途半端に過ぎるのだ。これでは顔や手の動きだけを教え、足の動きにまったく気を配らないクロールの誤った泳ぎとなんら変わらない。
さて、バシバシ水を叩いて推進力と方向性をつけ、上半身の動きを強力に支える源が足の動きにあるとしたら、計算の目に見えない部分でのそれに相当する動きは、一体何であるか。
それはですね、わかりきったことを書きます。わかりきっことを書くのはかなり苦痛でもありますが、これだけ鈍い計算力、ひどい計算のすすめ方しかできない、ほんとに大勢の公立中学生を毎年目の前にすると、そして小学校から続々上がってくるのを観ると、あらためて書かざるを得ません。
1.素早い暗算の能力 2.要所部分の計算の暗記 3.小さな計算の工夫の3つでしょうか。1と2は、算盤をしておれば、それこそ思う存分自然に身につくことですね。わたしも小学校の自分は1年間だけでしたが3級までとり、たいしたことはありませんがそれでもその後、とても計算のスピード向上、また暗算の微妙な力の補強に役立ちましたが、その算盤をする生徒がいまはマイナーというか少数派だけに残念でなりません。本をろくすっぽ読まないで、国語の力をどう上げればいいのかという発想、議論と通底しているようなもので。これらは外部の力でどうのこうのする問題ではなく、あくまで自分のなかで対処し、自分のなかで育くむ、また獲得してゆくものですから。
さて1番。これは既に述べました。豊富な演習量が学校ではまったく足りませんから、そして頭でっかちな学習しかこなしていませんから、手が頭になる計算をとことん、身に染み込むまで練習をまずは自分の責任で積むこと。
前回より書いています2番の要所部分の計算の暗記と、3番の小さな計算の工夫に絞って、以下思いつくまま少し。
◎単純に暗記!
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1.2乗の数
11の2乗=121、12の2乗=144、13の2乗=169、14の2乗=196、15の2乗=225、
16の2乗=256、17の2乗=289、18の2乗=324、19の2乗=361、25の2乗=625
<これは学年に関係なく、暗記しよう。小学生からできるね。>
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2.少数から分数への転換
0.25=1/4, 0.5=1/2, 0.75=3/4, 0.125=1/8,
0.375=3/8, 0.625=5/8,
0.875=7/8 (ほか、0.2=1/5, 1.4=1・2/5,
2.8=2・4/5 なんて、当たり
前。しかし当たり前でないことが案外多いですから確認してください。)
<これは小学生レベル。でも中学生でも知らない生徒が多い。>
◎訓練を積むことにより、できれば暗記の域まで。
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3.通分→最小公倍数
上述していますが、3と4なら12、また4と6も12が瞬間で浮かぶ訓練。4と8な
ら8ですね。8と12なら24。では12と20なら、・・・?ではなく、60がすぐ出
る訓練。<大きい数を2倍して割れるか、3倍して割れるか、4倍して割れる
かを、素早くすることですね。この場合、20の3倍の60は12で割れますね。
それをどれだけ速く出来るか、というより、速くする訓練。>
1桁同士(ex.3と7)、1桁と2桁(ex.5と15)、2桁と2桁(ex.12と18)、こ
こまでで十分。後者2つはある程度癖があるというか、出題されやすいのが
いいですね。むやみやたらなのはよくない。3と11はいいとして(33)、9と
19なんかは意味がない。23と45なんかも同様ですね。25と60なんかは300に
なるけど、頭の回転にはいいですね。
<小学生も中学生もすべき。>
◎小さな計算の工夫!
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4.整数×少数
例えば、文章題の「割合」・「食塩」問題で使う計算。
480人の0.95はいくら? わたしの場合は暗算で、480−24=456と出します。
まともに掛けて計算するのは馬鹿らしい。なぜなら答えは整数だからですね。
人数でまた価格で中途半端な少数になる筈がない。ならば、暗算してしまえ。
計算の仕組みは、480の0.1倍は48。0.95は1から0.05引いたものだから、0.1
の半分、つまり48の半分の24を引けばいいだけ。
では、540人の1.05倍はいくら? 540+27=567 もうおわかりですね、こ
の式の意味が。これは1次方程式、連立方程式でよく出てくる計算で、これ
を利用すれば、大抵暗算で計算できますね。
<中1・2生が中心も、もちろん小学生もできる。
◎引き算と割算の力をつけて(これは1番に入るが)!
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5.2桁・3桁の計算演習を!
足し算、掛算はあまりミスが出ない傾向にあるが、引き算、割算はミスが多
いし、それ以上に計算が遅い。なぜなら前者に較べ、演習量が少ないことと、
それに伴う脳の計算網の回路が細い(?)から。引き算、割算の演習を増や
すことが望まれる。
8÷4=2、20÷5=4、120÷6=20、これらは確かに割算していますね、頭の
なかは。では、91÷13=7はどうなのだろうか? もちろん暗算ですよ。わ
たしの場合、掛算をしているのですが。予め7がすっと脳に浮かんでいるの
ですが、その7と13を掛けて91か、と確認している。皆様はどうでしょうか?
108÷9=12 これは割算して答えを出していますね。では、108÷12=9はど
うでしょうか? 9が浮かんで、9×12=108の計算、つまり掛算をしている。
12×13の計算は、わたしの場合、12×10=120をまず頭に入れておき、12×3
=36をそれに足して、156を暗算で出している。では逆の、156÷12=13です
が、これは頭のなかは素直に割算しているのですが、問題はそうではなく、
156は12と13の積であることをほぼ暗記できているということです。因数分
解するとき、このへんの数字感覚が既に頭に沁み込んでいるかいないかの差
が、大きくスピードに影響するということがいいたいのです。
また同様に中3の平方根の計算でも、25、50、75、100、125、150、175、・
・・等は25の倍数ですが、では、√175=5√7が出る際の計算は、175は25の
倍数であることが当たり前に頭に入っており、5を出して25で割る。そのと
きの計算は25×7=175の、これまた掛算をして出している。
生徒の計算を観ていると、175が25の倍数であることもあまりピンと来てい
ませんし、また計算方法も割算一辺倒といいますか、掛算を上手く利用して
いないふうにもみえるし、ご丁寧に割算の式を書いて計算したり、下手する
と固まって手に持つ鉛筆は少しも進まないケースもある。
わたしの計算スピードはもちろん仕事柄並とは思っていませんが、それでも
上の下ぐらいでしょう。何らたいしたことはありません。でもそのわたしか
ら観ても、並みのスピード、計算能力はどうしても持ってもらいたい、身に
つけるべきだ、と強く思います。現実はあまりにもひどい。
375は、25で割れるんだ、という瞬間の計算判断。15がせめて2秒以内で出て
くる計算訓練を積んでください。98は49の倍数であるという感覚を身につけ
て下さい。96は16で割れる数字だ、ということを覚えてください。
最後に1つ。生徒の悪い癖――計算するその右手(左利きの生徒は左手)、
5�儖米發里箸海蹐法�必ず消しゴムが置いてあります。まあ、ほぼ全員です。
この光景は奇異です。それを頻繁に使用します。ひどい場合、計算している
のか、消しゴムで消しているのか、いったいどちらの作業が主体なのか?!
と、問いたくなる生徒がいます。それほどでなくとも、その使用数は計算レ
ベルが上がれば、極端に増えるのがいまの生徒の特徴です。それほど計算に
自信がない、また計算を自由に操ることが出来ない証左でしょう。この悪癖
をどうぞ取り除いてください。筆箱のなかに消しゴムを入れて。
以上、具体的には書いたつもりですが、計算問題そのものはあくまで手作りがいいかと思います。上を参考に、いろいろ組み合わせたりして、バリエーションができますね。関連付ける、反復するのが、コツです。上の主旨で作られている問題集はまずないですから、市販の問題集に頼ることなく、使い古しのノートかあまった紙を用いて、あくまでお金をかけることなく、しかし愛情とほんの少し頭を使って、頑張ってみてはどうでしょうか。(わたしの問題集もご参考に・・・)
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