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  高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§355 入試社会の勉強のしかたについて
<中3受験生に問題>

 勉強のしかたというものはとても大切なものである。勉強はしてみても、そのしかたがまずければ、成績は思うほど上がらないだろうし、またたいした実力もつかない。こんな超当たり前のことをいまさら書いてどうかと思うが、書かずばなるまい。

 というのは、いままで、まずい勉強のしかたをやってきた生徒は、最後の最後の段階になっても、つまり、入試対策の勉強に入っても、自分の勉強のしかたを、とくにそのまずい面を変えようとはしない、そこにどうにも歯がゆさをもつからである。これは、変えねばならないことがわかっていないのか、変えようという気がまったくないのか、雑な言い方ながらどちらかであろう。

 後者は、話にならない。問題は前者。変えねばならないことがわかっていない生徒に、社会の科目に的を絞って、今回書くことにします。

 といっても、勉強のしかたとはこうだああだといくら口走っても、当の本人がそのまずい点に気づかなければなんともならない。では、何がいったいそんなにまずいのか。ひとつ具体的に問題をとおして気づいてもらいたいというか、検証してみることにします。

 以下問題を用意しました。最近の公立入試の問題です。解答は一番下に載せてあります。下線部の範囲を印刷をし、できるだけ紙の状態で解いてください。

・「この問題でちょっと勉強しなさい」という、指示設定です。

・制限時間は、10分とします。(実際は速い生徒であれば2,3分もあれば解けると思いますが、10分の時間を与えてください。それをどう使うかは生徒次第。)
 
・勉強がすんだと思ったら、解答合わせをし、採点してください。計20点満点とします。

・生徒はどのように問題にあたって解くのだろう? そして解答合わせをしたあと、どういう作業と勉強をするのだろう? これをできればそばで見ていただきたい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(問題)次の略年表をみて、(1)〜(6)の問いに答えなさい。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 年   おもなできごと   <略年表>
1853 ペリーが浦賀に来航する
1854 (A)が結ばれる
1858 (B)が結ばれる
1871 (1)岩倉使節団が欧米に派遣される
1914 第一次世界大戦が始まる ↑
1917 (あ)革命が起こる
1918 (2)米騒動が起こる X(1914年から1931年までの期間)
    (い)出兵が始まる
1931 満州事変が起こる ↓
1941 太平洋戦争が始まる
1945 広島・長崎に原子爆弾が投下される
    ポツダム宣言を受諾し、降伏する
    (3)GHQの指令のもと、民主化政策が始まる
1946 日本国憲法が公布される
1951 サンフランシスコ平和条約が結ばれる
    (C)が結ばれる
1960 (D)が結ばれる
1972 (   う   )
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

(1)略年表中のA〜Dには、日本がアメリカと結んだ条約の名称が入る。下の
資料は、その中のある条約の内容の一部である。あてはまる条約をA〜Dの中か
ら一つ選びなさい。また、その条約名を書きなさい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
第ニ条 下田、函館の両港は、アメリカ船の薪水、食糧、石炭、欠乏の品を、
日本にて調達することに限って、入港を許可する。(部分要約)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  記号ー〔   〕 条約名ー(               )

(2)次のア〜エは、略年表中のXの時期のできごとである。年代の古い順番に左
 から並べて書きなさい。
 〔   〕→〔   〕→〔   〕→〔   〕
 ア ワシントン会議が開かれる
 イ 五・四運動が起こる
 ウ 南京に国民政府が樹立される
 エ 二十一カ条の要求が出される

(3)略年表中(1)の使節団は、欧米の進んだ産業や社会を見聞し、国力の
 充実が必要であるを実感して帰国した。明治政府は、この経験から近代産業
 を育てる政策をさらに推進した。この政策を漢字4字で書きなさい。
  (             )

(4)次の文は、略年表中(2)のできごとについて、略年表のを用いて説明
 したものである。(  )にあてはまることばをそれぞれ書きなさい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(あ)革命の影響がおよぶことをおそれた日本、アメリカ、イギリスなどの各
国は(い)出兵を行った。その際、日本国内ではコメの買いしめが起こり、米
の価格がはね上がった。このため人々は安売りを求めて騒動を起こした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 (あ)ー(           ) (い)ー(           )

(5)略年表中(3)について、このとき行われた政策としてあてはまらない
 ものをアからエの中から一つ選びなさい。〔   〕
 ア 戦前の体制を経済的に支えたとして、財閥解体された。
 イ 学制が公布され、6歳以上の男女すべてが小学教育を受けることとされた。
 ウ 農地改革で地主・小作関係が改められ、多くの自作農が生まれた。
 エ 20歳上のすべての男女に選挙権が与えられた。

(6)次のア〜カの中から、略年表の(う)にあてはまるものを二つ選びなさい。
  〔   ・   〕
 ア 小笠原諸島が日本に復帰する
 イ ベトナム戦争が終結する
 ウ 日中共同声明が発表される
 エ 朝鮮戦争の休戦協定が結ばれる
 オ 日中平和友好条約が結ばれる
 カ 沖縄が日本に復帰する
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 さきにすこし、生徒の点数への評価をしてみます。
 
 この問題の印象ですが公立入試にすればけっこうむつかしいように思えます。(2)と(6)などは私立入試(やや難関レベル)によく出されるレベルの問題です。(ただし通常の中学レベルをはるかに超えて、ここまでこみ入ってややこしく深い知識を問うか、といった問題をときおり出す難関私立の入試問題ともし較べるなら、まだまだやさしいといえますが。)

 半数以上は、10点以下になるかと思います。そうした生徒は、まずは基礎知識の習得にもっと地道にかつ真剣に励むことでしょう。

 社会の力が平均やや上の生徒の場合、受験対策ということで塾などでもしっかり(?)最後まで勉強し、重要事項だけならまず覚えたと仮定しても、本番の入試が終わった段階でも(1),(4),(5)の3問、11点をとれるのがやっとというのが実情にかぎりなく近い姿でしょうか。また、ふだんはもっとできているのだけど、実は社会の知識が時代によってまだまちまちで、とくにこの近・現代史の区分になると、その知識に脆弱があることを自覚できていない生徒も、この範疇に入ります。

 社会という科目がほんとうに好きで知識も豊富、得意な生徒なら、なんとか17点あたりうまくゆけば20点の満点がとれなくもないでしょうが、たんにこれまで定期テストがいいとかひととおり地理と歴史の基礎復習が終わっただけの生徒なら、せいぜい14点とるのがやっとかもしれません。


 さて、何点とれただろうか? わたしはこの程度の問題なら、もし公立トップ高校を受験合格しようとする生徒ならすべてできて当然、そこまでの実力のついた勉強をいままでにしてきて当たり前であろう、と思っているが、現実はそうすんなり期待するほどではないこともよくわかっている。

 それぞれのいまの学力で今後ワンランク上の実力をつける、そのためにはどうあらねばならないか、の主題でこれを書いています。たとえば7点の生徒は10点に、11点の生徒は14点に、14点の生徒は17点に、17点の生徒は20点に、であります。

 なんだ3点ばかしか、と思われる方もおれるかもしれない。しかしそうではありません。いま1問で仮に20点として捉えているのであり、社会全体100点満点に換算すればその5倍、つまり15点になるわけです。もうちょっと正しく書けば、地理と公民の問題は、歴史の知識を吸収する量と較べればすくなく、より正確にいえば12点前後くらいになるでしょう。いま、このワンランクアップの勉強のしかたにこだわっているのです。

 それぞれが今後社会の勉強をもっと積み、現時点の各自の成績より点数と実力を上げていくのは当然ですが、そこでまずい勉強をしていると、ワンランクアップどころか現状と同じか、またそんなに思っているようには上がりませんよ、このまさにまずい勉強をいまここで、すでにやっているのではないか?と指摘したいのです。

 さて、上記のテスト問題をしました(orと仮定します)。

 生徒は、ただテストの問題だけを考え、答え、また採点をしたただけではありませんか? それ以外になにかしましたか? 

 わたしなら、またわたしがはるかむかしの中学生だったときでも、社会のテスト問題の場合は、問題に答えるだけでなく問題そのものに詰まっている大事な知識をすべて、知っているか、年代も覚えているか、これがもし問題になった場合は答えられるか、など確認、吸収しましたが。問題を解き採点し、その時間に3分、あとの7分は、この作業をし、計10分になるのです。

 これって特別のことでなくごくふつうの入試社会に対する勉強のしかた、問題の解き方だと思いますが、大半の生徒の姿は、ぱぱっと問題を読み、そして問いだけをちょっと考え、答える。解答もぱぱっと見て、○つけ。
 
 えっ、それだけっ?・・・――って、思いますよ。喰い散らかした食べ方である。食パン1枚、その3割ほどを食べた感じ。残りの7割は食べずに残っているのだけど。

 よくですね、入試過去問を5カ年分を解くこと、そしてそれを3回繰り返すのが大事です、とかなんとか、そんなアドバイスをする人がいますね。まず基本的に、こんなくだらない勉強のやり方はとてもわたしは勧めしない。この喰い散らかした勉強のしかたをしている生徒にとっては、こんなアドバイスは、有害無益のなにものでもないだろう。

 では逆に、外見、非常にていねいに何事かと思えるほど真剣に考え、時間もかかって問題を解いている生徒も、なかにいる。結果できているかといえば、あちこち間違えている。これも問題である。そもそも問題を解く知識の習得量が、根本的に不足しているのだ。

 入試5教科のテスト問題にたいする勉強のしかたは、各科目すこしずつ違って当然である。問題そのものに含まれている知識と情報量の観点からいえば、他の科目と異なり、社会のテスト問題というものは、たった1問のなかにも厳選されおいしい(?)知識がいっぱい詰まっているわけで、それらは問いそのものの答えの部分だけではなく答えでない部分と、今回の問題でいえば略年表(おもなできごと)のなかに大事な押さえておくべき知識が羅列されいるのであり、それらは、形と設定を変えれば、別の問題の答えになる知識なのである。

 このことがじゅうぶん意識できていれば、問題文や年表に下線を引いて注意したり、暗記したり、関連知識をさらに書き込んだりと、問題を解いたあと(or解く前にも一部)に勉強すべき作業が当然あるはずなのである。ぱぱっと解き、解答見て、あとはぽかんとしている顔はけっしてしていないはずである。また、そうやってつねに学習をいままでしてきておれば、まるではじめて解くような時間のかかる、考えて悩むような解き方の姿もまずないであろう。

「問題を解き採点し、その時間に3分、あとの7分は上の作業をし、計10分です。」
 と、書きました。喰い散らかしのまずい勉強からの脱却、入試問題に入ってからの社会の勉強はとくに、1問の問題すべてを味わい喰いつくすことが、ワンランクアップの勉強のしかたであり、たしかな実力を伸ばすために欠かすことができない方策のひとつであると、つよく指摘したい。

 長くなりました。生徒がどれほどまだこの問題で勉強しきれていないのか、そのことをもうすこし、次回の<続>で検証してみることにします。

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<解答> 計20点満点
(1) 記号ー〔 A 〕 条約名ー( 日米和親条約 ) 各2点
(2)〔エ〕→〔イ〕→〔ア〕→〔ウ〕 3点
(3)( 殖産興業 ) 3点
(4)(あ)ー( ロシア ) (い)ー( シベリア ) 各2点
(5)〔イ〕 3点
(6)〔 ウ・カ 〕 完答で3点
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(参考) ( )印:暗記年代 <>印:これは難しすぎる

(1)B 日米修好通商条約 C 日米安全保障条約 D 新日米安全保障条約 
(2)
 ア ワシントン会議が開かれる(1921年)
 イ 五・四運動が起こる(1919年)
 ウ 南京に国民政府が樹立される<1927年>
 エ 二十一カ条の要求が出される(1915年)
(5)
 ア 財閥解体された(1945年)
 イ 学制が公布(1872年)
 ウ 農地改革(1946年)
 エ 20歳上のすべての男女に選挙権(1945年)
(6)
 ア 小笠原諸島が日本に復帰する<1968年>
 イ ベトナム戦争が終結する(1975年)
 ウ 日中共同声明が発表される(1972年)
 エ 朝鮮戦争の休戦協定が結ばれる(1953年)
 オ 日中平和友好条約が結ばれる(1978年)
 カ 沖縄が日本に復帰する(1972年)
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  トッポ先生の社会問題集
 ・「実力をつける地理と歴史セット問題集」〜中1・2生対象
 ・「<新版>入試社会の攻略問題集」〜中3生対象

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