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§117 夏休み非課題非推薦図書?
<読書のすすめ by Toppo >
7月に入り、夏休みもいよいよ近づいてきました。受験を迎える生徒は悠長なことは言っておられませんが、それ以外の学年、小学5・6生や中1,2生などは、この夏勉強をどうするのかと考え、あれこれ計画を練る以外に、できることなら読書の計画も立ててもらいたいと思う。
そこで以下50冊、夏休みに読むのにどうかな、という本を手前勝手に蒐めてみた。1から42はすべてこれ筆者の小・中時代に読んだものから随意択び、残りは中学生にも読めるかなと思うものをつけたした(おそらくなんの参考にもならないだろうが、ほんのちょっと考えるキッカケになれば)。
従っていまの時流に沿ったものはいっさい含まず、○○推薦指定図書などと肩書きの入ったものも一切無視、子供のレベルを斟酌したり迎合した選定も極力意識的に避けた。それ以上にまして、斯く斯くしかじかの教育評論家及び関係者の人が良いからと薦めたという理由や、また多くの子供が感動しときに涙したという情報などで、自分でさっぱり読んでもいないものを安直平然と薦めるのはまったく性に合わない。
それどころか抽出した基準は、一作者一冊として、適当・ランダム、直感、恣意的、唯我独尊、そしていまの軟弱な読書環境とその風潮におおいに臍を曲げながら選び出したものである。個人的に薦めたい本、強烈に影響を受けた本はかなりあるが、それは歴史ものであったり、推理ものであったり、内外多くの詩集、評論、随筆であったリ、或いは無頼派の文学であったりで、どうもこの場合まだ相応しくはないので除外した。
つまり、小中時に読んだ本は、それなりにいまもこころ奥深くしまわれて清澄な光を発してわたし自身にとっても貴重な体験となっているが、別の視点で観れば、その後のほんとうに好きな作家、本捜しへの旅と修行の期間であったとも言える。これは多くの人がそうであったように、私もそのなかのひとりにすぎない。
下記のなかでも、中学時にすでに虜になり嵌って、続けて10数冊の著作を読んだ作家もいるし、その後高校、大学と読み続けて50冊以上読んでしまった作家もまたかなりいる。しかしこんな個人的趣味趣向はどうでもいいとして、また読書の国語力に及ぼす甚大な影響力、読書を通じて培養される根気、集中力、読解力、論理力など、いつもならそれらを言及するところであるけれど、この度は触れる気はまったくない。
なぜなら、そんなことをいちいち考えて読んだ憶えがないからですね。読書の目的を、漢字や語彙力の幅を増やすため、読解力や論理力を養成するためなどと勉強に結びつけてしまう通俗的・功利的な発想は、ほんとうのところ気に染むところではない。異質の価値判断を持ち込んでいるだけではないか。読書は読書の世界で完結すればいいのである。単に本を読むことはおもしろいと感じ、読書の世界を自由に泳いで愉しめばいいのであろう。国語力なんてものはその結果、知らず知らずのあいだに身につくものがあるにすぎない。
さだかに憶えていないけれど、すべておもしろく読んだわけでは毛頭ありませんね。たとえばドストエフスキーの『罪と罰』なんて、中学生の分際でよくも読んだものだといまさらに驚く。もちろん、理解できたところはしれているし、じゅうぶんわかって読んではいなかったとは思うが。
わたしは昔から、多読でもないし速読もほとんどしない。どちらかといえば精読中心、じっくり読むのが好きなほうで、また一度読みかけると、相当な理由がない限り最後まで読む。面白かろうが面白くなかろうが、難解であろうがなかろうが、関係ない。調べてみると、ドストエフスキーの著作は他に、『虐げられた人々』『死の家の記録』『貧しき人々』『地下室の手記』『永遠の良人』『悪霊(上・下)』なども中・高生のあいだに読んでいたのだから、難解さを超越した不思議な魅力がさまざまにあったのであろう。
もちろん当時でもこんな書物は、中学生にとって指定図書でも推薦書物でもなかったわけで、勝手気儘に読んだにすぎないが、この「勝手気儘に」読み進めるという行為を、できることなら今の中学生にも是非してもらいたいものだと、現今の読書状況のひどさは重々知りつつも念願する。その意味でアンチテーゼとして、下記の50冊を掲げてみた。
1. 『海底二万海里』ベルヌ
2. 『大地』(1〜4)パール・バック
3. 『にんじん』ルナール
4. 『チップス先生さようなら』ヒルトン
5. 『あしながおじさん』ウェブスター
6. 『この日をつかめ』ソール・ベロー
7. 『トニオ・クレーゲル』トーマス・マン
8. 『車輪の下』ヘルマン・ヘッセ
9. 『チボー家のジャック』マルタン・デュガール
10. 『ピエールとリュース』ロマン・ロラン
11. 『狭き門』アンドレ・ジイド
12. 『誰がために鐘は鳴る』へミング・ウェイ
13. 『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
14. 『失われた文明』A・ゴルボフスキー
15. 『ファーブル昆虫記』(1〜6)ファーブル
16. 『ベンハー』ルー・ウォリス
17. 『ソロモンの指環』コンラート・ローレンツ
18. 『モーパッサン短編集』モーパッサン
19. 『罪と罰』ドストエフスキー
20. 『赤と黒』スタンダール
21. 『ニ都物語』ディケンズ
22. 『二十四の瞳』壷井栄
23. 『ビルマの竪琴』竹山道雄
24. 『しろばんば』井上靖
25. 『風の又三郎』宮沢賢治
26. 『生まれ出づる悩み・小さき者へ』有島武郎
27. 『恩讐の彼方に』菊地寛
28. 『路傍の石』山本有三
29. 『次郎物語』(1〜5)下村湖人
30. 『山椒太夫・高瀬舟』森鴎外
31. 『坊ちゃん』夏目漱石
32. 『千曲川のスケッチ』島崎藤村
33. 『伊豆の踊り子』川端康成
34. 『虫のいろいろ』尾崎一雄
35. 『野菊の墓』伊藤左千夫
36. 『杜子春・トロッコ』芥川龍之介
37. 『風立ちぬ・菜穂子』堀辰雄
38. 『啄木詩歌集』石川啄木
39. 『真理先生』武者小路実篤
40. 『城の崎にて』志賀直哉
41. 『津軽』太宰治
42. 『吉里吉里人』井上ひさし
43. 『どくとるマンボウ青春記』北杜夫
44. 『ムツゴロウの大悦声』畑正憲
45. 『岳物語』椎名誠
46. 『カナダ・エスキモー』本多勝一
47. 『インド鉄道紀行』宮脇俊三
48. 『C・W・ニコルの海洋記』C・W・ニコル
49. 『ぼくの還る川』野田知祐
50. 『ハラスのいた日々』中野孝次
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