高校入試でターイセツなこと、って何だ?!
§69 学習のしかた<中3編>VOL.2
<中1・中2の復習と数学の応用問題への対処>

中3学習の総合的な進め方の第2回目。いつ、中1と中2の復習はいつやるんだ、という問題。そして実力アップを如何に図ればいいんだ、という難しい課題。

 言いたいことは大きく2点。それを述べます。まず1点は、もうスタートを切らねならないということ。その内容は、社会と理科、2教科の中1,2年分野の復習です。次に書くことは一つの目安というか、参考になればと思います。
 
 1学期と夏休みを併せた期間で、社会と理科の1,2年の基礎の復習をすること。社会を例に取れば、塾では私が作ったプリントで、中1の地理の復習から始めています。プリント1枚に70問あるとすれば、よく覚えてる生徒でも半分も書けません。それほどひどい状況です。内容は世界の地形、国名、主な都市、雨温図、北緯40度の緯線、などなど、そして農産物資源、鉱産資源などの国別特徴、よく出る語句など、基本中の基本からの覚え直しです。暗記です!

 まあよくもこんなに習ったことをこと忘れるなあ、それも突っ込んだやや幅広く深い知識が要求される問題(私立入試ですね)ではなく、例えば、世界最長の南米の山脈は何?に対し、このアンデス山脈ですら、知らない(?)忘れた(?)生徒が公立中学の場合、半数以上(いや、もっとひどいだろうね)ではないだろうか。

 統計や資料を読み取り、また表現力を磨き、記述式の問題に対応する力を養おうなんて次元じゃあありません。そもそも基本の語句、知識ですら抜けてるわけで、実をつける前に幹と枝をしっかり張りなおさなければならないのが、現実の生徒の姿です。よく私が言う言葉に、「骨を入れろ」というのがありますが、肉付けなんてまだまだ秋以降ですよ。いいですか、応用が出来ないのではなくて、基本が出来ないのですよ。

 まずは暗記!! そしてその確認テスト。世界地理、日本地理、それが終われば歴史。結構習ったことはありますね。猛烈に覚えなおさなければなりません。そして、まとめの問題集を用いて、更に演習。反復ですね。これが完了するのは11月末ぐらいです。

 もう少しこのことを具体的にいいますと、一度目はまとめプリントで総復習を行い、それを追いかける形でまとめの問題集を使います。同時平行ではありません。プリントで基礎の地均しをして、それでも以前よりはましですが、ひどい生徒はまたその半分は忘れますし、成績がましな生徒でも7割覚えていればいいほうで、忘れる頃に、こちらにしてみれば忘れてもらったら困る頃に、まとめの問題集で再演習し、覚え方、受験に必要な知識、細々したあらゆるテクニックなども教えていきます。

 つまり方法は別ですが、二度繰り返して復習してることになります。これでようやく基礎の復習は終わりです。学力偏差値はこの時期、11月末頃には当初から平均して10は最低上昇しています。でもですね、これで基礎的なことが凡そ入る生徒もいますが、実際新たに教えた中で、まだ8割くらいしか頭に残っていないのが、平均的な生徒の姿です。それでもだいぶましになっているわけで、そんなもんでしょうね。基礎とはいえ2年間の知識は、生徒にとっては厖大なものですから。

 そしてあとの時間、入試までに、もう一冊受験問題集で演習をし、繰り返しとプラスαの応用の知識を教えていきます。理科については若干方法は異なりますが、大同小異。これだけのことを地道にやっていかないと、受験には繋がらないということです。

 中3学習があるでしょう、また定期テストがありますね。定期テストの前、1,2週間はそれに時間を充てなければなりませんので、当然中断されます。勉強のリズムが狂ったり、意志が弱まったり、いろいろ問題は起こりますが、とにかく最後までやり通すことです。それが社会、理科の実力アップの最も基本であろう、と思います。

 次に言いたいことの2点目。数学、英語について。これもほんとさまざまあるのですが、ここでは受験に絡んだ学習方法の中のたった一つ、局所的な学習のつめ、数学の応用問題に対する処理のしかたに絞って、述べてみたいと思います。

 なぜこれを書くかといいますと、もちろん非常に大事だからですが、今まで教えてきて、どうもその勉強のしかたは拙いよ、折角やっても本当には身につかないよ、という問題点を孕んでいるからです。まずは、どんな問題レベルか、下記URLをクリックしてみてください。ざーと、問題内容に目を通すだけで結構です。

 http://www.e-juku1st.com/textmathexp/textsu2.htm <公立高入試問題>

 E-juku1st.Com 数学問題集の、中2の最後の章<プラスα、応用>に採りあげた問題の一つです。どのようにお感じになりますか? 応用レベルの中ランクの問題です。偏差値(公立高限定)でいえば、65ぐらい。

 これを入試直前の対策でして、生徒は出来ると思われますか? 数学の偏差値が68の生徒でも、最後まで完答することは難しいかも知れません。入試本番は一種独特な雰囲気の中で緊張に包まれ、それに時間も制限されています。平常は仮に出来たとしても(40人に1人ぐらい)、入試では思ったほど力が発揮できないケースは多々ありますね、特に数学は。

 この問題はなんら特殊な問題ではなく、応用の中ではパターン化された代表問題の一つです。生徒は苦手ですね。第一、学校ではこんな問題はしない。教えない。教えることが出来ない。実力テストでもこのレベルは出ない。しかし、入試は出題される。生徒の数学の能力をみる為に。

 ここから局所的な学習のつめの、本題に入ります。基本ではありません。応用レベルの話です。お間違えのない様に。このレベルの問題を出し、生徒に解かせたとする。出来ない。定期テストで90何点取ってる生徒でも、殆ど出来ません。数学は、「自分で出来ないのは、出来ない」のです。もちろんその前に、あるいはずっと前に、それを解く知識と重要ポイントは教えてあります。

 出来ないから、わからないから、丁寧に気持ちを込めて教えますね。こうやって解くんだ、ポイントはここにある、と。応用になると、その説明でわかる生徒もいますし、わからない生徒も多分にいます。ある程度わかった? そんなのは全然わかってはいません。では、わかった生徒は、出来るようになるのかといえば、とんでもありません。出来ないのです。なぜなら、自分の頭でま
だ考えていないからですね。
 
 それではと、追求して、ノートまとめをさせます。復習です。問題を写し、図形などすべて手書きです。その際の注意点もしつこく言います。次回の授業の折、点検をします。みんな生徒は丁寧にやってきます。でも、視ればわかります、出来ないことが。問題の急所まで到達していないのです。自分で考えた指紋が残っていません。殆どは授業での解法の丸写しです。

 人から「教えてもらった」問題は出来ない! 自分で、自分の力で解けた問題しか出来ない、のです。

 なんか、これ、世間の常識、通念から外れていますね。でも公立中学生を教えて21年、一つの限りない、真実に近い感慨です。数学が出来る生徒でも(といっても、公立の範囲ですが)、この応用レベル以上の問題になると、ほんとうの勉強がなかなか出来ない。

 目を瞑れば、問題を解く道筋と、要はこれだなというポイントが、鮮明に頭に浮かばねばなりません。そこまで追求することです。時間はかかるんですよ。ノートにやり直したのは、わかっていないことの確認作業であって、そこからほんとうの勉強が始まるのであり、自分の頭で考え直し、理解し、且つ覚えこまなければならない。

 なぜ、覚えこまなければならないかというと、出来なかったからであり、既に解く能力がないからです。負けなんですね。それを身につけようと思うなら、また思って欲しいのですが、最低覚えこまなければなりません。からだの芯まで入れなければ、即ち悟得するまでその問題と付き合わなければ、真の応用力は身につかないでしょう。

 ノートは閉じれば、それで目に触れることはありません。悟得するには、何も丁寧に書く必要はないのだけど、再度その問題と解法を余った紙に書き、自分の机の前か部屋の壁に貼り、首を廻せば目に触れるようにし、何度も考えることですね。そうすれば、次第に見えてきますよ。鮮明に問題が見えれば、破り捨てたらいい。同題、類題ばかりか、その種の問題はある程度自信をもって解けるでしょう。つまり、活用する力が生み出されるわけですね。

 応用問題を解いたからといって、またその説明を受けてわかったからといって、決して自分の力にはなっていない。自分の力にするには、実はそのあとの勉強と追求のしかたにあると思いますね。

 学校の授業を大切にし、基本をしっかり学ぶことは大いに必要だけど、数学の場合、それだけでは決して十分ではありません。中3ともなると、数はそれほど多くなくてもいいけど、常に良質な応用問題にぶつかり、自分の力を鍛えさらに一段高く上がる為に、表面的な勉強に留まることなく、もっと深くほんものの勉強を追求することを常日頃から心掛けてください。